2014年8月20日、広島市安佐北区と安佐南区で発生した大規模な土砂災害は、集中豪雨による甚大な被害をもたらしました。わずか3時間で217.5mmもの雨が降り続け、山間部で同時多発的に発生した土石流が住宅地を襲い、多くの命が失われました。この豪雨の背景には「バックビルディング現象」がありました。身を自ら守るために心がけておくことについて考察します。
集中豪雨による同時多発的土石流の発生
2014年(平成26年)8月20日 広島市で大規模土砂災害

広島市安佐北区と安佐南区で大規模な土砂災害が発生しました。
3時間に217.5mmという集中豪雨により、安佐北区、安佐南区では谷で同時多発的に土石流が発生し、麓の住宅地を襲いました。
発災後に避難勧告が発令されるなど行政の対応の遅れも相まって、深夜の就寝中に住宅に土砂が流れ込み、死者74人という大きな被害が発生しました。

バックビルディング現象

安佐南区と安佐北区可部を襲ったこの豪雨は、暖かく湿った空気が流入し続け、同じ場所で積乱雲が繰り返し発生する『バックビルディング現象』が原因の一つと考えられています。
出典 国土交通省中国地方整備局
「バックビルディング現象」とは
次々と発生した積乱雲が一列に並び、集中的に雨が降ることを「バックビルディング現象」と呼んでいます。

一般的に積乱雲は、雨を降らせて1時間ほどで消滅すると言われています。今回は、太平洋上にある高気圧のへりに沿って、南から暖かく湿った空気が豊後水道や瀬戸内海を通って広島市付近に大量に流れ込み、さらに安佐北区、安佐南区の山地にぶつかって上昇し、同じ場所で新しい積乱雲が発生することが繰り返され、大雨が狭い範囲に集中して、継続的に降ったと考えられています。
参照 国土交通省中国地方整備局
バックビルディング現象と線状降水帯

集中豪雨時にみられる降水域は、2014年8月20日の広島での大雨のように、20~50kmの幅を持ち、線状に50~200kmの長さに伸び、数時間ほぼ同じ場所に留まることが多い。
バックビルディング型形成では、次々と積乱雲が生成し、複数の積乱雲が組織化することで、積乱雲群を作り出す。
積乱雲が次々と発生して、バックビルディング型形成により積乱雲群は3~5個程度の積乱雲から組織化されさらに複数の積乱雲群が連なることで線状降水帯が形成され、線状降水帯には積乱雲→積乱雲群という階層構造がみられる。
参照 気象庁
災害警戒情報を知る
土砂災害発生の危険性がある区域を「知る」、危険性がせまったことを「察知する」、土砂災害警戒情報や土砂災害危険度情報をいち早く把握することが、身を守る行動をとる上で重要です。
土砂災害ポータルひろしま
「土砂災害ポータルひろしま」では,土砂災害発生の危険性がある場所や,大雨により土砂災害発生の危険性が高まった時,土砂災害警戒情報や土砂災害危険度情報を県民の皆様にお知らせすることで土砂災害への備えに活用して頂くことを目的とします。
出典 土砂災害ポータルひろしま

「線状降水帯」予測始まる “見逃し”確率や“的中率”は
発達した積乱雲が次々と連なって大雨をもたらす「線状降水帯」。発生するおそれのある場合、気象庁は半日から6時間前までに気象情報の中で伝える取り組みを6月1日から始めました。
▽予測の内容や仕組みは?
▽情報が出ていない中で線状降水帯が発生する、いわゆる“見逃し”の確率は?
▽実際に出された予測の“的中率”は?
詳しくまとめました。 (2022年6月に放送されたニュースの内容です)
出典 NHK|災害列島 命を守る情報サイト

まとめにかえて
集中豪雨が起きたときは、素早く行動することが大切です。そのためには、日頃からの準備も重要です。自らの身を自ら守るため、次のようなことを心がけてください。

・日頃から災害に備えておいてください
・気象情報を入手できるようにしておいてください
・危険を感じたら速やかに避難してください