1987年12月17日に発生した千葉県東方沖地震は、千葉県を中心に関東南部の広範囲で大きな被害をもたらしました。特に埋立地や河川沿いの低湿地では液状化現象や土砂災害が目立ち、建物の沈下やインフラの損傷が発生しました。この記事では、液状化現象とそのメカニズムその対策について解説し、液状化リスクを事前に把握するための方法についても紹介します。
液状化現象や土砂災害が発生
1987年(昭和62年)12月17日 千葉県東方沖地震

千葉県東方沖を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生し、千葉県千葉市、勝浦市、銚子市で震度5を観測しました。千葉県を中心に関東南部の広範囲で家屋損壊などの被害が多数あり、特に埋立地や河川沿いの低湿地などでの液状化現象や土砂災害などが目立ちました。
(図注釈)液状化は、埋立地が密集する臨海部、九十九里平野の沿岸部、河川の沖積低地に集中して発生しています。「昭和 62 年(1987 年)千葉県東方沖地震-災害記録-」(千葉県、1989)をもとに作図

液状化が発生しないだろうと考えられていた丘陵地の長南中学校の校庭で液状化が発生し、水が噴出しました

液状化は起きないと思っていた場所でも、液状化が発生する場合があります。液状化について知っておくことは、防災に取り組む上で有益です。
液状化現象とメカニズム
液状化現象とは
液状化とは、地震が発生して地盤が強い衝撃を受けると、今まで互いに接して支えあっていた土の粒子がバラバラになり、地盤全体がドロドロの液体のような状態になる現象のことをいいます。液状化が発生すると、地盤から水が噴き出したり、また、それまで安定していた地盤が急に柔らかくなるため、その上に立っていた建物が沈んだり(傾いたり)、地中に埋まっていたマンホールや埋設管が浮かんできたり、地面全体が低い方へ流れ出すといった現象が発生します。
出典 国土交通省

液状化現象とそのメカニズム
大地震の際、湾岸地区や臨海地区で発生する液状化現象。そのメカニズムと対策について、鹿島技術研究所の研究員が実験に基づいて解説します。
出典 Kajima Official Channel / 鹿島公式チャンネル
液状化を実験してみよう
大きな地震で、地面が水になる液状化。
身近などうぐを使って、液状化をおこすことができるよ。実験してみよう。
出典 鹿島建設株式会社|カジマキッズアカデミー

液状化にそなえて
戸建て住宅など比較的小規模な建物に有効な液状化対策として、
(1)地盤が液状化しにくいように地盤改良する。
(2)杭基礎とする。
(3)被害を受けにくいような建築物にする。
といった対策が考えられます。
出典 千葉県|3 液状化にそなえて
地形区分に基づく液状化の発生傾向図等
「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」と「都道府県液状化危険度分布図」をハザードマップポータルサイト『重ねるハザードマップ』で公開されています。
参考 国土交通省|地形区分に基づく液状化の発生傾向図等

「すべての情報から選択」、「土地の特徴・成り立ち」から「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」を選択

「すべての情報から選択」、「災害リスク情報」から「都道府県液状化危険度分布図」を選択→都道府県を選択
まとめにかえて

地盤が液状化すると、地耐力の低下、地盤の沈下、噴砂、局部的な陥没などが起こります。その結果、建物の傾斜や局部破壊などを生じます。
自分の住む地域の“液状化の発生傾向”に気づき、液状化による危険性を前もって知っておくことは防災に取り組む上で有効です。
液状化について知識を深め、地盤の状況を把握して、専門家に相談しながら、備えましょう。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、東北地方から関東地方の太平洋沿岸を中心に広範囲で液状化被害が発生しました。
震源から遠く離れた東京都内でも、臨海部だけでなく内陸部においても液状化が発生し、区部東部の5区で木造住宅が傾くなどの被害が生じました。
ここでは、建物の建て主や所有者の皆様が、液状化についての知識を深め、地盤の状況を把握して、地盤や建築の専門家に相談しながら、液状化による建物被害に対してどのように備えていったらいいのかを、分かりやすく解説していきます。
出典 東京都建物における液状化対策ポータルサイト

