富士山の噴火を想定してみる・4月11日(平安時代の延暦19年3月14日) 富士山延暦噴火

火山

平安時代の富士山延暦噴火

800年4月11日(平安時代の延暦19年3月14日) 富士山延暦噴火

富士山の北東山腹から噴火が発生し、この日から約1カ月間に渡り活発な噴火活動があったと日本紀略に記載があります。

富士山の3大噴火

富士山には、かつて歴史時代の3大噴火として数えられた噴火があります。それらは古い順に、延暦19~21年(西暦800~802年)、貞観6年(864年)、宝永4年(1707年)の噴火です。延暦の噴火は、最も古いもので、延暦19年~21年(西暦800~802年)、1ヶ月以上の噴火が続いたと記録されています。

出典 富士山火山防災マップ(神奈川県) 宝永噴火(1707年)時の実績の降灰分布

噴火の影響

過去の富士山噴火では、周辺で大量の火山灰で家屋の倒壊や農地が埋まるなどの被害が出たほか、流れ出した灰による土砂災害や洪水が長期間にわたり発生したことがあります。
また、富士山で大規模な噴火が発生した場合、風向きや風速によっては周辺の自治体だけでなく東京の都心を含む首都圏の広い範囲に火山灰が降り、公共交通機関や物流に影響が出て生活に支障が出るおそれが指摘されています。
参照 NHK|富士山大噴火 降灰シミュレーション 深刻な影響も

富士山火山防災マップ(神奈川県) 火山灰や軽石を出す大規模な噴火の場合広い地域に火山灰が降ります
季節によって風向きが変わるため、火山灰の到達範囲は変わります。この図はすべての季節を重ねて描い
ているため、実際の降灰範囲は異なる場合があります。

噴火から身を守るには

富士山の噴火を想定した新しい避難計画を静岡・山梨・神奈川の3県などで作る協議会がまとめました。噴火前に親戚の家や宿泊施設などへ自主的に分散して避難するよう呼びかけたり、登山客を下山させたりするほか、隣接する市町村への避難を取り入れることで「逃げ遅れゼロ」を目指すとしています。
参照 NHK|富士山噴火新避難計画公表 いつ逃げる?予兆で?市町村一覧掲載

富士山の噴火警戒レベル

噴火警戒レベルとは、噴火時などに危険な範囲や必要な防災対応を、レベル1から5の5段階に区分したものです。
出典 気象庁|富士山の噴火警戒レベル

気象庁|富士山の噴火警戒レベル

“逃げ遅れゼロ”目指す新避難計画

住民に対しては、混乱を避けるため噴火の前に火山性地震が増加するなどして気象庁が噴火警戒レベルを引き上げた場合などに、親戚や知人の家、宿泊施設へ自主的に分散して避難するよう呼びかけるとしています。
そのうえで、避難の対象地域を噴火に伴う現象や影響が及ぶ時間に応じて6つのエリアに分け、それぞれ移動手段や避難の開始時期を示しました。

  • 第1次避難対象エリア 想定火口範囲です。5段階ある噴火警戒レベルのうちレベル3の段階(居住地域に影響しない程度の噴火の発生、または地震、微動の増加等、火山活動の高まり)で避難します。
  • 第2次避難対象エリア 主に火砕流や火砕サージ、大きな噴石が到達する可能性のある範囲です。噴火警戒レベル4(小規模噴火の発生、地震多発、顕著な地殻変動等に より、居住地域に影響するような噴火の発生が予想される)となった段階で一般の住民も車で避難するとしています。
  • 第3次避難対象エリア 溶岩流が3時間以内に到達する可能性のある範囲です。短時間で到達するため、噴火が起きた直後に避難するとしています。
  • 第4次避難対象エリア 溶岩流が24時間以内に到達する可能性がある範囲です。
  • 第5次避難対象エリア 溶岩流が7日間以内に到達する可能性がある範囲です。
  • 第6次避難対象エリア 溶岩流がその後、最終的に到達する可能性がある範囲で、最大57日間かかるとされています。

出典 NHK|富士山噴火 ハザードマップと避難計画は

まとめにかえて

富士山は活火山で噴火することが想定されます。火山災害では事前の迅速な避難が、人的被害の有無を大きく左右します。「まさか富士山が噴火するなんて」と思っていても、いざその時の為の心構えや準備をしておくことが大事です。

富士山の災害予測図改定 噴火の被害 より早く広範囲の恐れ(静岡県)

富士山の噴火を想定した「ハザードマップ」が改定されました。今回の見直しで溶岩の流れがより早くより遠くまで届く恐れがあり、それぞれの自治体は対応を迫られています。
出典 SBSnews6

富士山の災害予測図改定 噴火の被害 より早く広範囲の恐れ(静岡県)