「煙突地震」とも呼ばれたこの地震では、煉瓦造の洋風建築に大きな被害が出ました。高層建築物における揺れの特徴や、当時の被害状況から、現代の地震対策にも通じる教訓を見つめ直します。
煙突の損壊が目立った「煙突地震」
1894年(明治27年)6月20日 明治東京地震
東京湾北部を震源とするマグニチュード7.0の明治東京地震が発生しました。
建物の被害は洋風建築の煉瓦建造物の被害が多く、高層ビルのはしり「浅草の十二階」こと「凌雲閣」(凌雲閣はその後、関東大震災で半壊し、取り壊される)が一部損壊した他、煙突の損壊が目立った事から、煙突地震の異名もあります。

木の家よりレンガ造りに被害
ベルツの日記の6月22日(原文のまま)にも 石造やれんが造りの家屋の被害がひどく、木骨家屋の被害は少なく、「住宅建築上、一つの教訓になると思う」と記している。
出典 「明治東京地震」『ウィキペディア日本語版』明治東京地震 – Wikipedia

三匹の子豚の話では、木の家より頑丈なのはレンガの家でしたが、災害により被害状況は異なります。
長周期地震動

当時の高層建築物も、地震には気を付けておくことが必要でした。
東日本大震災では長周期地震動により高層ビルは大きく長く揺れ、高層階がより大きく揺れる傾向があることが広く知られるようになりました。
建物の揺れやすい周期(固有周期)は、高さにより違い、一般的に高いビルほど長い固有周期なり、同じ地面の揺れでも、建物の高さによって揺れ方は異なります。
出典 気象庁| 長周期地震動による高層ビルの揺れ方
その時、いのちを守るために

地震が発生した時、自分がどこにいるかは事前には分かりません。地震が起きた時自分がいる場所がどのような状況になるかを前もって知っておくことは、防災に取り組む上で有益です。
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出典 東京消防庁
まとめにかえて
1894年の明治東京地震(M7.0)では、木造家屋よりも石造・煉瓦造の建物が被害を受けやすかったとされ、地震に強いと考えられていた建材でも必ずしも安全ではないことがわかります。また、現代においては、超高層ビルに深刻な影響を与える「長周期地震動」への対策が重要視されています。 高い建物ほど固有周期が長く、特定の揺れと共振して大きく揺れる可能性があります。
地震対策としては、建物自体の耐震性だけでなく、家具の固定や個人の避難行動も重要です。 東日本大震災や今後予測される南海トラフ巨大地震などを踏まえ、防災意識を高めることが求められています。
揺れが止まらない… 高層ビル・タワマンを襲う「長周期地震動」
東京・名古屋・大阪などの大都市で増え続ける超高層ビル、そしてタワーマンション。
その脅威となるのが「長周期地震動」という、長く大きな揺れだ。南海トラフ巨大地震では、最大の揺れ幅は6メートル、時間は10分以上続くという想定もある。
果たしてそのとき、あなたは何ができるだろうか。
出典 NHK|災害列島 命を守る情報サイト
