この記事では、2004年に発生した平成16年台風23号による甚大な被害を振り返り、災害時に命を守るための適切な避難行動について解説しています。特に、バスの屋根に避難し一夜を明かした事例を通して、避難の重要性が強調されています。突然の避難を求められた場合、即座に行動できるようにするためには、事前の準備や心構えが不可欠です。また、避難の際には周囲の人々と連携し、「率先避難」を広める取り組みが有効であることも紹介されています。
バスの屋根に上がって救助を待つ
2004年(平成16年)10月20日 平成16年台風23号
台風23号が西日本・東日本を縦断し、死者・行方不明者98人、浸水家屋が50,000棟を上回る甚大な被害をもたらし、平成期では最悪の台風災害の1つとなりました。
この年は、上陸した台風が10個と観測史上最多であったが、この台風はその最後となる10個目として12時頃に高知県土佐清水市に上陸、近畿地方、東海地方を通過して茨城県沖に抜け、西日本各地で土砂災害や河川の氾濫による浸水被害が多数発生、京都府舞鶴市では、増水した由良川沿いの道路上で立往生したバスがさらなる増水により水没、バスの屋根に上がった乗客など37人が救助を待ち一夜を明かしました。
災害が発生した時、命を守る為には避難をしなくてはいけない場合があります。逃げ方を前もって考えておくことも、いざという時に素早く身の安全を図るために必要です。
逃げ遅れを防ぐために
いきなり「逃げろ」といわれても
平成16年台風第23号(平成16年10月)
いきなり「逃げろ」といわれても、どうしていいかわからない
(福知山市 60代 男性)
ほとんどの人が火災のときぐらいしかサイレンを聞いていないので、サイレンを鳴らしても、漠然と水が出ているらしいということはわかっても、どういう状況かは理解できていないのです。
だから、「雨が強く降っていますよ」、「水が異常に増えていますよ」、「消防団が警戒を始めましたよ」、「一部の方が避難しましたよ」、「どんどん水が増えていますよ」、「山崩れも起きましたよ」というお知らせの後に、「逃げなさい」言うたら初めて逃げる。
いきなり「逃げろ」と言われて、逃げる者はやっぱりいないなと思いました。これは非常に大きな反省点です。
出典 内閣府防災情報のページ
逃げ遅れを防ぐ「率先避難」
西日本豪雨災害では、身の危険を感じた人の半数が実際に避難しなかったことがわかっています。逃げ遅れを防ぐ対策として、周囲の住民に呼びかけて一緒に避難する「率先避難」を広げようという取り組みが始まっています。愛媛県大洲市の三善地区では、3年前から住民たちで対策を話し合い、避難する際に「気にかける人」をあらかじめ決めてカードに記入しておくことで、去年の水害時に全員が無事に避難することができました。
出典 NHK地域つくりアーカイブ
いざ避難することになった時、ためらわずに行動できるようにしておくことが、逃げ遅れをなくす上でも重要です。
避難する時
逃げる時は高齢な人や子供連れの人が安全に避難できるように情報を確認するとともに、注意点も心得ておく必要があります。
避難情報がよりわかりやすく!
避難情報が新しくなりました。避難に時間のかかる高齢者の方などは警戒レベル3で避難。警戒レベル4避難指示が出たら全員が避難です。大雨や台風などによる災害から命を守るため、日頃の備えと早めの避難を心がけましょう。
出典 政府インタネットテレビ
豪雨の中、やってはいけないこと3選
防災科学技術研究所は、大雨の中での注意喚起を目的とした「豪雨の中、やってはいけないこと3選 ~子連れ避難実験~」の動画を公開いたしました。
この動画は、一般社団法人 防災住宅研究所(東京都新宿区)と共同制作、防災科研の大型降雨実験施設を利用したものです。
大型降雨実験施設では、毎時300mmまでの雨を再現できます。
出典 防災科学研究所
まとめにかえて
災害が起きた時には、身の安全を守るために逃げる必要があることがあります。その際どこにどのように逃げるかを判断しなくてはいけません。命を守るためにはバスの屋根の上に避難する場合もあります。
人に頼らず自主的な避難や逃げ遅れを防ぐ率先避難など、いざという時のために、事前に心構えを持っておくことは命を守る行動をすぐにする上で重要なことです。