「自然災害だから」と諦めない、災害への備えの重要性について考えてみる・11月12日 バングラデシュ・ボーラ・サイクロン上陸

台風
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自然災害に対する「諦め」は、被害の拡大につながることが少なくありません。1970年11月12日、ボーラ・サイクロンがベンガル湾沿岸のバングラデシュ(当時の東パキスタン)を襲い、甚大な被害が発生しました。しかし、その後の防災対策の強化により、同国は自然災害による犠牲者数を劇的に減少させることに成功しています。本記事では、バングラデシュの災害予防の取り組みを通じ、地域住民と国際社会が一体となった防災の重要性について考えます。

高潮による甚大な被害

1970年11月12日 バングラデシュ・ボーラ・サイクロン上陸

Googleマップ バングラデシュ

バングラデシュ(当時の東パキスタン)のベンガル湾沿岸にサイクロン・ボーラが上陸しました。満潮時刻と重なり、低湿な沿岸部は高潮に襲われ甚大な被害となりました。

出典 ウィキペディア 1970年のボーラ・サイクロン

高潮とは

高潮とは、台風や発達した低気圧に伴って、海岸で海面が異常に高くなる現象です。高潮が発生すると海水が堤防を越えてしまったり、台風によって発生した高い波は越波するようになり、背後地が浸水する可能性が高くなり、とても危険です。
出典 国土交通省

出典 国土交通省 高潮が発生すると海面が上昇し、越波や背後地への浸水が起こりやすくなります。

災害予防の取り組み

サイクロン被害に見る災害予防の重要性

バングラデシュは,国土の50%以上が海抜7m以下と低地が多く,ひとたびサイクロンに起因した高潮が発生すると住民の避難場所は限られることから,1970年には30万人,1991年には14万人の死者を出していました。これを受け1991年以降,国際的な支援を受けながら住民避難用サイクロンシェルターの建設,早期警戒システムや堤防の整備などの防災対策が進められてきました。
出典 内閣府防災情報のページ

取り組みと成果

1991年から住民避難用サイクロンシェルターの建設,早期警戒システムや堤防の整備などの防災対策が進められて、サイクロン被害は,大幅に軽減されてきました。

「自然災害だから」と諦めない。犠牲者を激減させたバングラデシュの地域住民主導の取り組み

1970年11月に起きた人類史上最悪ともいわれるサイクロン・ボーラでは約30-50万人もが犠牲になったと推定されている。1985年には約11,000人、1991年には約14万人が犠牲となった。近年では、2007年のサイクロン・シダーで3,400人超、2009年のサイクロン・アリアで約190人の死者が出た。

そして2020年5月20日、バングラデシュをサイクロン・アンファンが直撃した。バングラデシュでは21年ぶり、観測史上2度目のスーパーサイクロンに発達。4,000平方キロメートル超の土地が浸水し、家屋・干拓地・堤防・道路・電柱・携帯電話の中継塔・橋・地下水路が激しく破壊され、その損失額は政府予測で約15億ドル相当とも言われている。多くの農地や養魚場も塩害を受けた。31人の犠牲者は出た。しかし、かつてのように何千人もの命が奪われる事態は回避されたのだ。
出典 ビッグイシュー・オンライン

出典 ビッグイシュー・オンライン 2020年6月3日、サイクロン・アンファンで浸水したパトゥアカリ地区チャリパラ村

サイクロンシェルター,堤防,植林の有効性

今回のサイクロン(2007年11月15日夜,バングラデシュ南部に上陸した大型サイクロン「シドル(SIDR)」)は,1970年に死者30万人をもたらしたサイクロンより勢力は大きかったにもかかわらず,死者数が2桁減少している。このことから,シェルターや堤防の設置,警報・避難プログラムなどの事前の災害予防対策が大きな効果を挙げているものと考えられる。
出典 内閣府防災情報のページ

出典 内閣府防災情報のページ

2022年に大洪水のバングラデシュでも死亡数は激減してきた

歴史上、とくに酷い被害が出たのは、1970年のボーラ・サイクロンだった。じつに20万人から50万人が亡くなったと推計されている。近年ではこのようなことは無くなり、2000年代以降の死者数はかつてに比べると極めて少なくなっている。経済成長を遂げ、堤防などのインフラを作り、予報・警報などのシステムを整えてきたおかげだ。
出典 キャノングローバル戦略研究所

まとめ

1970年11月12日、バングラデシュ沿岸に「ボーラ・サイクロン」が上陸し、高潮によって約30万人~50万人が犠牲になりました。この惨事を契機に、バングラデシュではサイクロンシェルターの建設、堤防の整備、早期警報システムの導入など、地域住民と国際社会が連携した防災対策が進められました。その結果、2007年のサイクロン「シドル」や2020年のスーパーサイクロン「アンファン」では、かつてのような甚大な死者数は回避され、被害は大幅に軽減されています。
自然の力は巨大ですが、備えることはやはり大事なことです。

備えなければ憂いあり

令和元年東日本台風

備えなければ憂いあり

60代 男性 元地区役員

私は日頃から家族の中で、何かあった場合に避難する時には、安全な次女のアパートに一旦集合しよう。それから避難所へ移るか、そのままアパートにいて良いかどうかを判断しようというような話し合いをしていました。事前に家族の中で避難についての話ができているかが大切だと思います。

住民自治協議会では、水害をきっかけに地区で活用できる「我が家の避難計画」と「マイ・タイムライン」を作成しました。地区全体の状況を把握しておくために、自分の逃げる場所を記入してもらい、携帯の連絡先も書いてもらうことにしました。

そして、避難した場合は、必ず区長さんなりに「○○に避難しました、無事です」と自分から連絡してもらうようになっています。

農家の人にとって農機具はとても大事なものですから、警戒レベルのどの段階でどこへ移動させるか。ペットを避難所へ連れていけるのか、行けない場合はどうするのか。子どもがいないから避難先はホテルにしようかといったことを普段から考えてもらうようにしました。

「備えあれば憂いなし」の逆で、「備えなければ憂いあり」なのです。

出典 内閣府防災情報のページ|一日前プロジェクト
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