残してくれた”備え”、そして教訓

大雨

300年前のメッセージ

1720年7月26日(享保5年6月21日) 福岡・朝倉の水害

江戸時代中期のに、福岡県の筑後川流域で大雨による洪水や土砂災害が発生しました。筑紫平野の南縁に連なる耳納山地では山津波が発生し、洪水と合わせて61人が死亡、家屋の流失211戸という記録が残っています。

また、この水害で山崩れや橋が流されるなどの被害を受けた現在の福岡県朝倉市にある地名が古文書に記載されており、「平成29年(2017年)7月九州北部豪雨」で河川の氾濫や土石流などで大きな被害を受けた地域とも一致することから、過去の水害の伝承という観点から注目を集めています。

出典 うきは市|儲穀の碑(うきは市吉井町東屋形)

300年前のメッセージ

この碑文には、来るべき災害に備えて備蓄するという、現在にも通じる防災に対する基 本的な取り組みが示されています。
従って、このメッセ-ジを風化させずに将来の災害に備え次世代の人々に語り継いでいく ことが大事です。
出典 うきは市|災害は歴史に学び逃げ遅れゼロ

残してくれた”備え”

東日本大震災(平成23年3月)

おばあちゃんが残してくれた”備え”をご近所にもおすそ分け

(仙台市青葉区 30代 女性 会社員)

信号も止まり、街中がまさにパニックに近い感じになっているなか、やっとの思いで自宅に帰ってきたものの、家の中はキッチンもリビングも物が散乱状態。

母とふたり、不安になりながら最低限の片づけをしている時に、亡くなったおばあちゃんが残してくれた”防災袋”が出てきたんです。中には簡易カイロもたくさん入っていたので、早速ご近所に配りました。

あの日は夕方から雪が降ったので、わずかな暖であっても、とても喜ばれました。もちろん私も母も”おばあちゃんありがとう”と何度も何度も感謝しました。

震災後は、親戚や親しい知人などの連絡先となる電話番号などを、小さな紙にメモしてサイフの中に入れ、常に持ち歩くようになりました。

当然ですが、携帯電話に連絡先が入っていても、電池が切れていると何の情報も得られないわけですから。

常日頃から”備えておくこと”の大事さをわかっていたつもりでしたが、具体的な行動となるとなかなかできないもの。

おばあちゃんの気遣いに助けてもらってからは、悔いを残さないためにも”思ったらすぐやる”ことを実行しています。

出典 内閣府防災情報のページ|一日前プロジェクト

災害から逃げ遅れないために

うきは市は、筑後川やその支流の隈上川、巨瀬川等の氾濫・決壊や耳納山地の土 石流によって甚大な災害に襲われる危険性があります。災害から身を守り、逃げ遅れ ないための第-歩は、災害に関心を持つことです。本冊子で紹介したように、先人が遺 した石碑や古文書は、自分の住んでいる地域で、過去にどんな災害があったのか、ど んな悲しいことが起こったのか、どのように復興してきたのか教えてくれます。過去の悲惨 な状況に目を背けず、災害と向き合うことによって、災害時、どんな危険が自分や家 族に及ぶのかをイメ-ジできるようになることが大事です。イメ-ジできれば避難判断も迅 速にできます。
出典 うきは市|災害は歴史に学び逃げ遅れゼロ

教訓を未来に伝える災害遺構

災害遺構とは?

出典 TEAM防災ジャパン

災害遺構とは、過去に災害で被害にあった人達が、その災害からの教訓を将来に残したいと意図して残された(保存活動が行われてきた)構築物、自然物、記録、活動、情報等です。例えば、岩手県宮古市では、昭和三陸地震の津波被害の教訓を刻んだ石碑が建てられていますが、この石碑より高い場所に住んでいた人は、東日本大震災の津波による建物被害を受けませんでした。

このように、過去の災害時に残された「災害遺構等」を通じて得られる教訓を次世代に受け継いでいくことは、災害被害を軽減する上で極めて重要です。
出典 TEAM防災ジャパン

まとめにかえて

過去に災害にあった人達が、その教訓を将来に残したいと意図して残されたものが私たちの周りにはあります。それは記念碑であったり、橋や道のように地域の景観に溶け込んでいる場合もあります。
そうした地域にある教訓やメッセージを受け取ることで、自分の防災力を向上させ逃げ遅れこともなくるようになるのではないでしょうか。

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