地域と自分の水害への備えを考えてみる・9月16日~17日 アイオン台風

事前
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1948年9月16日から17日にかけて、アイオン台風が東日本・北日本を襲い、甚大な被害をもたらしました。この台風をきっかけに、岩手県の北上川沿いには一関遊水地が整備され、洪水対策が強化されました。アイオン台風による被害を契機としてできた遊水地の役割について知るとともに、流域全体で水害を防ぐ「流域治水」の取り組みや、防災気象情報を活用した早期の避難行動の重要性について知っておくことは災害から身を守る備えとして大事です。

水害を契機に遊水地を整備

1948年(昭和23年)9月16日から17日にかけて アイオン台風

アイオン台風が東日本・北日本を通過し、死者・行方不明者838人、浸水・損壊家屋130,000棟を超える甚大な被害が発生しました。

アイオン台風は、9月16日に伊豆半島南部をかすめて伊豆大島を通過し、房総半島に上陸しました。その後は太平洋に抜けて三陸沖を北東へ進み、台風の中心では風が強く、富崎(千葉県館山市)で最大瞬間風速60.1m/sを観測しました。
また、台風の接近する前から前線の活動が活発となったため、東日本・北日本で大雨となりました。特に、東北地方では72時間降水量が仙台で351.1mm、宮古(岩手県)で249.3mmに達し、北上川が岩手県一関市付近で氾濫し、岩手県だけで死者・行方不明者が700人を超える大きな被害となりました。

出典 NHKアーカイブス アイオン台風関東を襲う

水害を契機として遊水地が整備

北上川の一関市付近はアイオン台風の前年のカスリーン台風でも大きな水害が発生しており、これらの水害を契機として広さ約1,300haの一関遊水地が整備されました。

出典 一関市ホームページ

水害の備え「遊水地」

遊水地とは

「遊水地」とは、洪水のときに一時的に水をためて下流に流れる水の量を減らすためのものです。普段は水田などに利用していて、洪水のときだけ水がたまるしくみになっています。
北上川では、一関遊水地の整備が進められています。
出典 国土交通省岩手河川国道事務所

出典 国土交通省岩手河川国道事務所

一関遊水地

出典 一関市ホームページ

一関遊水地は山目、中里、舞川地区と平泉町にまたがる面積1450ha。周囲堤と小堤からなる二線堤方式を採用し、第1から第3の3つの遊水地で構成されています。洪水調節、市街地などの水害防御、遊水地内の土地利用―を目的に、普段は農耕地として土地を利活用し、中小規模の洪水の際は小堤により遊水地内への水害を防御。大洪水のときは遊水地内で洪水調節を行い、周囲堤によって市街地への水害を守ります。
出典 一関市ホームページ

出典 国土交通省岩手河川国道事務所|一関遊水地|事業箇所全体写真

流域治水 上手にあふれさせて被害を減らす!?

毎年のように起きる河川の氾濫。氾濫危険水位を超えた河川は全国で増加傾向にあります。そんな中、日本各地で進められているのが「流域治水」プロジェクト。河川の上流から下流まで、流域全体で被害を減らす試みです。40年以上前から「流域治水」に取り組み着実に成果を上げている地域もあれば、合意形成に苦慮しているケースも。流域に暮らす人たちの命と暮らしを守るために何が必要か、さまざまな事例から学びます。
出典 NHK防災

出典 NHK防災

早めの防災対策と避難行動

様々な水害対策が地域では取り組まれています。個人でも災害に対して防災対策や避難の心構えを持っておくことは大事です。

大雨や台風の気象情報に注意して 早めに防災対策・避難行動を行いましょう

初夏から秋にかけては、台風や前線の影響で、大雨、洪水、暴風、高潮等による自然災害が発生しやすい季節です。皆さんが早めの避難などの防災行動をとることができるよう、気象庁は様々な「防災気象情報」を発表しています。時間を追って段階的に発表される「早期注意情報」や「気象情報」、「注意報」、「警報」などの防災気象情報を有効に活用し、早め早めの防災行動をとるようにしましょう。
出典 政府広報オンライン

出典 政府広報オンライン

まとめにかえて

一関遊水地は昭和22年カスリン台風及び23年アイオン台風の洪水による大水害を契機に計画され、昭和47年に事業が着手されました。着工からすでに50年が経過していますが、近年の数十年に一度といわれる豪雨災害を見ると50年前の判断と取り組みは防災にとって極めて有意義であることを感じます。
今は50年前と比べて、社会や自然の環境も変わっている部分があり、個人も防災に取り組まなければならないことは50年前も今も変わらないのかもしれません。