2011年7月、新潟県と福島県を襲った記録的な豪雨は、「平成23年7月新潟・福島豪雨」として多くの人々の記憶に刻まれました。わずか数日間で平年の2倍を超える雨量が観測され、河川の氾濫や堤防の決壊、交通インフラの寸断など甚大な被害をもたらしました。本記事では、当時の被害状況や教訓、そして地域住民の声を通して、防災の大切さを改めて見つめ直します。
相次ぐ河川の氾濫と堤防の決壊
2011年(平成23年)7月27日から30日にかけて 新潟・福島豪雨

新潟県と福島県では記録的な大雨に見舞われ大きな被害が発生、「平成23年7月新潟・福島豪雨」と命名されました。
日本海から東北地方南部にかけて停滞する前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み大気の状態が不安定となった影響で、新潟県から福島県会津地方にかけてはレーダー解析で1時間に100mmを超えるような猛烈な雨が続き、記録的短時間大雨情報が相次いで発表されました。期間総降水量はアメダス観測地点で所によって700mm以上、レーダーによる解析では新潟県三条市と福島県只見町で1,000mmを超えた地域もあったとされる。これはこの地域の7月の平均降水量の2倍以上に相当しました。
相次ぐ堤防の決壊、河川の氾濫
この豪雨で、新潟県から福島県会津地方にかけて堤防の決壊、河川の氾濫が相次ぎ、死者・行方不明者6人、損壊・浸水家屋10,000棟以上の大きな被害となった。また、JR只見線は橋梁の流失などの甚大な被害を受け、現在も福島県内の一部区間で運転できない状態が続いている。
現場での混乱と悔しさが残した教訓
土のうを積めない悔しさ教訓に土備蓄
平成16年7月新潟・福島豪雨(平成16年7月)
土のうを積めない悔しさ教訓に土備蓄
(長岡市 40代 男性)
消防団も一生懸命やったんですけど、結構たたかれましたね。要は命令がおりてこないと、我々は基本的には動けないわけなんですよ。「消防は何やっているんだ」というような言われ方をして、しまいには、「おまえらのせいで川が切れたんだ」みたいなことを。
救出活動にしろ、土のう ※ 積みにしろ、基本的に本部の人間が、ああしてくれとか、こうしてくれとか指示するわけなんです。例えば、こっちから上のほうに「土のうはどうなっているんですか」と聞くと、「もう手配しているから」という返事がくる。でも全然来ないわけ。
そうするとやっぱり、住民が言うわけです、「いつになったら土のう積みをするんだ」と。だから、その教訓を生かして、今は年がら年中、決められた場所に、土にシートをかぶせて置かせてもらっているんです、いつでも詰められるような形にして。
※土のうとは、布袋の中に土砂を詰めて用いる土木資材のこと。適宜、土砂を詰め、袋を縛り積み上げることで、水や土砂の移動を妨げることができることから、堤防の水止めなどに使われます。
出典 内閣府防災情報のページ|一日前プロジェクト
『自助』の大切さ
金山町の長谷川盛雄さん。
道路が寸断された当時の現場を、目の当たりにした1人。金山町議会で議長を務めた後、2014年から町長を1期務め復旧に向けて舵取り役を担ってきた長谷川さん。
堤防などの整備は進んだが、災害から命を守るためには『公助』『共助』だけでなく『自助』も欠かせないと考えている。
出典 福島ニュース 《新潟・福島豪雨から11年》鮮明に残る記憶…被害を目の当たりにした人が語る『自助』の大切さ (22/07/29 18:50)
まとめにかえて
「平成23年7月新潟・福島豪雨」では、短期間に1,000mmを超える猛烈な雨が降り、新潟県・福島県会津地方を中心に大規模な浸水と土砂災害が発生しました。死者・行方不明者6人、1万棟以上の住宅被害、只見線の長期不通といった深刻な被害が記録されました。現場では、指示の遅れや資材不足により迅速な対応が困難だった悔しさが語られ、その後の教訓として「自助」の重要性が強調されるようになりました。地域では土のうの備蓄体制が整備され、住民一人ひとりが災害に備える意識の向上が図られています。
こう水がおきたらどうしよう?
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出典 NHK for School
