1902年5月8日、西インド諸島マルティニーク島のプレー火山が大規模な噴火を起こし、壊滅的な火砕流が発生しました。これは火山観測史上、初めて火砕流が確認された事例であり、サンピエール市では約28,000人が犠牲となりました。火山災害の脅威とその教訓を改めて考えるきっかけとなる出来事です。
初めて観測された火砕流
1902年(明治35年)5月8日 プレー火山噴火

西インド諸島のフランス領マルティニーク島にあるプレー火山が噴火しました。この噴火で山頂の溶岩ドームが破壊され、火砕流によって山麓のサンピエール市で約28,000人が死亡するなど街は壊滅状態になりました。
これが、火山学の研究史上初めて観測された火砕流となりました。
火砕流とは
高温の火山灰や岩のかたまり、空気や水蒸気がまじりあい、猛スピードで山の斜面を駆け下りてくる現象です。大きな噴煙が発生したあとや、溶岩ドームがくずれるなどして発生します。火砕流は、通り過ぎるところをすべて焼きつくしてしまいます。破壊力が大きくとても恐ろしい現象です。
出典 気象庁|火山災害の種類

溶岩ドームと火砕流のしくみ
雲仙普賢岳を例に、地下から上がって来たマグマが地表に現れ、溶岩ドームと火砕流が発生するしくみを見ていきます。
出典 NHK for School

火山噴火を生き延びる方法
ルドガー・シルバリス(出生名ルイ=オーギュスト・シパリ)は、酒癖とけんかで悪名高い労働者だった。1902年5月7日、トラブルメーカーの彼は騒動(記録によっては、山刀を持ち出して相手に怪我をさせたとされる)を起こして逮捕され、サンピエール刑務所の独房に収監された。
これは、一見したところ不運な出来事だったが、このタイミングでの投獄は、運命のいたずらによって彼の命を救うことになった。
出典 Forbes JAPAN|1902年、火山噴火で絶滅した島でただ1人生き延びた男の数奇な物語
火山噴火 その時どうする?対策は?
高温で高速の火砕流に巻き込まれると命の保証はありません。火口周辺に近づかないことが最も重要です。
出典 NHK 災害列島 命を守る情報サイト

まとめにかえて
この噴火では、刑務所に収監されていた男が独房の構造によって奇跡的に生き延び、「ただ一人の生存者」として知られることになりました。
火山活動においては、火口周辺に近づかないことが命を守る第一歩です。火砕流などの火山災害の危険性を理解し、日ごろの備えと正しい知識が重要です。