火山噴火と津波そして避難

津波避難 津波

2018年(平成30年)12月22日 インドネシア・アナククラカタウ島噴火・津波発生

インドネシアのスマトラ島とジャワ島の間のスンダ海峡に位置する火山島のアナク・クラカタウ島が噴火した。この噴火に伴って津波が発生し、スンダ海峡両岸のスマトラ島とジャワ島の沿岸部では、437人が死亡、10人が行方不明、30,000人以上が負傷し、およそ1,000棟の建物が被害に遭った。家を失うなどして、40,000人以上が避難所などに避難した。

津波の要因としては、噴火によって火山そのものが崩壊し、崩れた土砂が傾斜の強い海底へ勢いよくなだれ込んだことで発生したと考えられている。この大規模な崩壊によりアナク・クラカタウ島の標高は噴火前の338mから110mになった。

海岸には津波を知らせるサイレンも設置されているが、地震を検知して鳴動するものだったため、今回の火山噴火による津波では鳴らなかった。地震が伴わなかったことのほか、噴火の爆発音が島沿岸までは届かなかったことや夜だったために海の様子が分かりにくかったことも、事前に津波を察知して避難することができず被害が拡大した一因となったとみられている。

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生死を分ける津波避難意識

事前に災害を察知し避難、命を守る行動をすることは、防災・減災を考えておかなくてはいけないことです。

アジア防災センターがスリランカで実施したアンケートでは,9割を超える人々が津波そのものを知らなかった。何百年もの間に一度しか起こらないような自然の脅威は,世代を超えて語り継がれることがない限り,未知の脅威であり続ける。

出典 内閣府防災情報のページ

津波意識の向上効果

 パプアニューギニア政府当局の要請により,アジア防災センターは日本の経験から得たものを同国の地域社会に伝えることとした。そこで,学識経験者の協力により多数の写真や絵を掲載したポスター,パンフレットを作成し,同国赤十字社などのネットワークを通じて配布,普及・啓発を行った。「地震発生時には津波に警戒して高地に避難せよ」との教訓が,同国で広まった。
 その後まもなく,2000年11月にマグニチュード8の地震が発生,津波により数千もの家屋が破壊されたにもかかわらず,死者は発生しなかった。津波災害に対する認識の向上が功を奏した事例である。

出典 内閣府防災情報のページ

避難をすること

津波を察知できたとしても、避難をしなければ命を守ったことにはなりません。津波を知ることと自分が避難することが繋がっていることが大事です。

自分ごとの避難

津波が来ることも避難が必要なことも、分かっていても行動に移せないことがあります。

「大津波が来る!」と叫んでも「そうなの?」とご近所さん~「とにかく、逃げよう」と一緒に避難

(釜石仮設団地 60代 女性)

「大津波が来る!」と叫んでも「そうなの?」とご近所さん~「とにかく、逃げよう」と一緒に避難のイラスト

昼食後にコーヒーを飲んでいたら、地震が起きました。すると、目が不自由な主人が「普通の地震じゃないから逃げた方がいい」、「これは大津波の地震だ、いつものと違う、早く逃げろ!」とか言って、階段を降りて行こうとするんですよ。「じゃ、革ジャン着て」って出していたら、「そんなの着ているヒマないよ」って。とにかく着の身着のままで、先に主人を高台の神社に避難させました。

その時、おばあちゃんたちが立っていたので、「大津波が来るみたいだから、早く逃げて!立ってないで!」って言ったら、「そうなの?」って笑っているんです。みんなそんな感じ。「ほんとに来るから!」と叫んでいるところへお店をやっている隣のおばちゃんがリヤカー引っ張って帰ってきたので、「シャッターだけ閉めて逃げて!」と言うと、「だって、今お金を下してきたばっかりだ」って。「いや、とにかく逃げよう」と言って、散乱している店先の物を片づけてやって、シャッターを閉めて、おばちゃんと一緒に逃げました。

実は前の年も大きな地震があって、津波警報が出て、避難命令が出たんだけど、何もなかったんです。それに、あの日の2日前にもちょっとした地震があって、津波注意報が出たけど全然来なかった。そういうこともあったから「たいしたことないな」という気持がどこかにあったのかもしれません。

出典 内閣府防災情報のページ

まとめ

火山噴火や津波は無くすことは不可能ですが、その被害を少なくすることは可能です。
被害を少なくする減災には、事前の心得や知識、情報収集が必要となります。災害が起こった時に自分ごととして行動できようにしておくことが、いざという時に自分の身を守ることになります。

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