災害とデマと科学不信を考えてみる ・ 1月12日 桜島・大正大噴火

火山

噴火後地震が発生、鹿児島市内でも被害

1914年(大正3年)1月12日 桜島・大正大噴火

内閣府防災情報のページ|桜島噴火

明治以降では最大規模の噴火で、降灰は遠く東北地方の仙台市まで達しました。もともとは桜島はその名の通り島でしたが、この噴火で島の南東方向と西方向に溶岩が流出し、1月29日には瀬戸海峡が閉塞、大隅半島と地続きになろました。
噴火の8時間後にはマグニチュード7.1の地震が発生、鹿児島市内でも大きな被害が出ました。

科学不信とデマ

「科学不信の碑」

この噴火で住民達は自主避難しましたが、鹿児島測候所が桜島噴火を否定したため科学を信じた人たちは島内に踏みとどまり多数の溺死者が出ました。

「科学不信」の碑(東桜島小学校)|内閣府防災情報のページ

桜島は、大正3(1914)年1月12日午前突如大爆発を起こし、その夕刻には直下型地震も発生した。さまざまな前兆現象があり、安永噴火の伝承も残っていたことから、住民達は自主避難をしたが、鹿児島測候所が桜島噴火を否定したため、科学を信じた知識階級は島内に踏みとどまった。結局、冬の海を泳いで逃げる羽目になり、多数の溺死者を出した。そのことを今に伝えるのがいわゆる「科学不信の碑」である。曰く「本島ノ爆發ハ古來歴史ニ照シ後日復亦免レサルハ必然ノコトナルヘシ住民ハ理論ニ信頼セス異變ヲ認知スル時ハ未前ニ避難ノ用意尤モ肝要トシ平素勤倹産ヲ治メ何時變災ニ値モ路途ニ迷ハサル覚悟ナカルヘカラス」

内閣府防災情報のページ|桜島大正噴火

デマ

混乱を大きくしたのにデマがあります。最初、鹿児島市民は対岸の火のように思って見物していたそうですが、夕方の大地震でパニックになりました。そこに「津波が来る」「毒ガスが来る」とのデマが飛び交い、混乱に拍車をかけました。
出典 災害史に学ぶ

出典 災害史に学ぶ

「寝耳に水」を避ける

いざ災害が起きた時、人が言うことも科学も信じられないのは困ったことだと言わざるを得ません。。

火山噴火予知
当時の測候所が桜島の噴火を否定し続けたことが、行政の対応や住民の避難を遅らせた側面があるのは事実です。また、当時の火山学も未熟でした。しかし、現在では当時と比べものにならないくらい火山学は進歩していますし、気象庁や大学、国土交通省などの諸機関による最新機器を駆使した観測が行われています。気象庁は2008(平成20)年から噴火警報の発表をはじめました。噴火の予兆は確実に捉えられるものと考えられ、大正時のような「寝耳に水」といった事態は避けられるでしょう。
出典 災害史に学ぶ

デマ防止に、消防車や校内放送でラジオ流す

福岡県西方沖を震源とする地震(平成17年3月)

デマ防止に、消防車や校内放送でラジオ流す

(福岡市 70代 男性)

避難所になる小学校には消防署が隣接しています。幸い、地震が発生して、私が小学校に駆けつけたときには、もう、消防団が集まっておりました。で、私はまず、彼らに消防車の拡声器でNHKのラジオを流すように頼みました。

それから小学校に避難してきた地域の人たちに、1人ずつ声をかけていたら、教頭先生がおられたから、「学校放送でNHKのラジオを流し続けてください」と言いました。

私は子供のころから、関東大震災の時にいろいろとデマが飛んで暴動が起き、地震とは関係の無いところで事件が起きてしまったという話を聞かされていました。だから、正確な情報がスムーズに伝達されなければならないと思い、NHKのラジオを流し続けるように頼んだのです。

そうしたら、被害の状況とか、街の様子とかが、ずっとラジオから聞けたんですよ。

出典 内閣府防災情報のページ|一日前プロジェクト

情報の公助

一つだけの情報で判断するより、複数の情報をみた方が偏った考えを持たないで済む場合もあります。また誰が言っている情報かもポイントです。行政や自治体、公共の機関からの情報を先ず確認しておくことは大事だと言えます。

公助とは、公的機関が行う援助や救助のことです。個人や地域社会では解決できない問題について、国や自治体が支援を行うことをを言います。

ネットの時代におけるデマやフェイクニュース等の不確かな情報

どのようなメディアでも、間違った情報が流布されることはあり得ます。
特にSNSの場合、誰もが容易に情報発信できることから、正しくない情報もたくさんあります。中には、騒ぎを起こすことが目的で発信されたデマも。目にした情報をうのみにせず、正確性が判断できない場合には安易に情報を投稿・拡散しないことが大切です。
出典 総務省

確認方法

  • 他の情報と比べてみる ネット検索し、複数の情報を読み比べましょう。本や新聞など、ネット以外で調べるのもお勧めです。
  • 情報の発信元を確かめる 発信元が明らかであっても、信頼できる人なのか、 信頼できるWebサイトなのかを確認しましょう。
  • その情報はいつ頃書かれたものか確かめる 元の情報が古いものだった場合、現在とは状況が 異なるかもしれないので、注意しましょう。
  • 一次情報を確かめる その情報が引用や伝聞だった場合は、元になった オリジナルの情報源を探して確かめてみましょう。

出典 総務省

まとめにかえて

100年前の関東大震災では流言やデマで社会が混乱し、2016年の熊本地震では、「ライオンが逃げた」という投稿が1時間で2万件以上のリツイートされたと言われています。
100年前も現代もデマによる混乱は発生しています。

災害デマが起こる原因としては、災害時の情報不足が原因です。被災者が求めている情報が圧倒的に不足していることから、災害時には誤情報が混じりやすくなります。情報を欲するあまりに、誤った情報も鵜呑みにしてしまいます。
いざという時の為に普段から情報の接し方を心がけておくことも防災に取り組む上で有益です。

“災害デマ”に注意してください 惑わされないための事例と対策

いざという時のために今日からできるちょっとした備えをご紹介します。今回は「災害時デマに惑わされない」です。(動画2分12秒)
出典 NHKにいがた放送局|にいがたWEBリポート

出典 NHKにいがた放送局

コメント